豪華絢爛な桃山時代の歴史と風土の中で生まれた織部焼は、他に類を見ない斬新なデザインを特徴とし、その造形からは圧倒的な生命力が感じられます。本書は、美濃地方に点在する古窯址から発掘された陶片をもとに編纂された加藤卓男編集の名著『織部の文様』（1985年、光村推古書院刊）を原典としています。しかしながら、現在では絶版となり、古書としても入手困難な状況が続いているのは非常に残念なことです。
本書は、旧版に収録された文様に加えて百数点の資料を新たに加え、さらに織部焼が食器としてどのように位置付けられるべきかを論じた最新の論考を収録し、織部の真実により近づく構成となっています。また、広く読者に手に取っていただけるよう普及版として再編集・刊行されました。実物を手にすることは叶わなくとも、その自由奔放で豊か、かつ土の香りを宿した形や文様から、織部焼の魅力を十分に感じていただけることでしょう。
※本書には図書館の蔵書印が押されています。
