文具の記念碑 / 許珂

シュー・コー(許珂)の創作において、本は単なる作品の記録媒体ではなく、時空の緊張感と独自の読書儀式を孕んだメディアそのものです。

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Q. このアーティストブックにおいて、探求しようとした中核的なテーマや問いは何ですか?また、どのような問題意識や時代背景が、このテーマでの制作へと突き動かしたのでしょうか?

許珂: ある時、作業デスクに目をやると、文房具たちがそれぞれ異なる姿で佇んでいました。単独で静止しているものもあれば、組み合わされているものもあり、それはまるで収納の直感や力学的な状態を表しているかのようでした。自然と「Stationary Stationery」というフレーズが脳裏に浮かび、この「テーマ先行」のプロジェクトが始まりました。

この2つの単語は発音が同じで、綴りも非常に似ています。しかし、書面上の関係から離れ、物の視点に立つと、言葉と言葉の間に相互に模倣し合うような緊張感が存在していることに気づきます。つまり、文房具(stationery n.)自体が保持している静止性(stationary adj.)です。

プロジェクトを進める中で、パブリッシャーの Mona Zhao 氏から「moment」から「monument」への流転について話を共有してもらい、「ある瞬間」のために「一尊の記念碑」を打ち立てるという視点を得ました。私は次第に、「Stationary Stationery」において、単にひとつの瞬間を延長したいわけでも、相対的な永遠を急いで確認したいわけでもないのだと自覚するようになりました。私は本質的に、徒労に終わる表象や、未定のままの出来事に惹かれます。提示したかったのは、オブジェクト、意味、そしてタイミングが出会う瞬間の「静止」と「揺らぎ」です。二転三転する可能性が好きであり、これらの短命な「文房具の彫刻」を構築している時、私はまさにそれらを感知していたのだと思います。

Q. 作品を「アーティストブック」としてまとめることは、単なる作品の再現にとどまりません。あなたにとって、元の創作を「本」という特定のメディアへ変換するきっかけは何だったのでしょうか?

許珂: 紙や本は、私にとって非常に親しみのある創作メディアです。そのため、「作品を本に収める」という変換のステップに対しては、比較的厳しい視点を持っています。ページをめくる動作によってもたらされる時空の関係性、引き起こされる読書体験、そしてそれが作品自体とどのように関連するかをまず思考します。それらが相互に成り立って初めて、正当な動機が生まれるのです。

「Stationary Stationery」の本に戻ると、テーマ自体の持つ開放性から、アクセス可能な読書のプロセスを提示したいと考えました。そこで模索の末、「横位置の図は横開き、縦位置の図は縦開き」という左右2部分の構造に行き着きました。これらは相対的に独立しており、画面上で互いに影響し合わない一方で、並列的な読書のリズムを生み出します。読者は自発的に異なる画面の組み合わせを作り出すこともできます。私にとって、これこそが「Stationary Stationery」プロジェクトが本へと変換される決定的な瞬間でした。

Q. どのようなディテールが、最も伝えたかった触覚的体験を担っていますか?

許珂: 表紙を開くと、まず作品に関するテキストが目に飛び込んできます。これは同時に、すぐに取り外すことのできる「敷き紙」でもあります。この動作は、展示会場に入り、目の前にある前言壁と出会ってから、作品の展示室へと足を踏み入れるプロセスに似ています。

本文ページには、デザイナーがノートのような質感を持つ紙を選び、触覚を通じて穏やかで静かな鑑賞空間へと連動させています。読書の主体は右側の「縦図ユニット」に集中させており、ページをめくる動作は下から上へと捲り上げる、カレンダーをめくるような方式です。これにより触覚を通じて「時間の観念」を組み込みました。また、このめくり方は、画面の主体であるオブジェクトの立ち上がり(地から立ち上がるような構築プロセス)の方向性とも合致しています。

Q. 許珂さんにとって、本書と従来の「展覧会カタログ」との最大の違いは何ですか?

許珂: 最大の違いは、この本がプロジェクト完了後の記録・アーカイブ段階ではなく、創作の真っ只中において、プロジェクトと同時に進行して生まれたという点にあります。

Q. 読者が最後のページをめくり、本を閉じた時、このテーマがどのような余韻やオープンな思考として残ることを望みますか?また、それは次の段階の研究や制作の方向性を予示しているのでしょうか?

許珂: はい。これは観点や解決策、結末が明確に提示されている本ではありません。むしろ概念を提起し、ささやかなヒントを埋め込み、鑑賞する側にいくらかの自主性を委ねるような本です。

本を閉じた時、先述した意味論やイメージをめぐるオープンな思考に加え、時間の尺度に関する問いも想起されることを願っています。「一瞬間」「一頃刻」「一刹那」——これらの短い時間単位の間に、どのような微細な感覚や想像の空間が存在するのか?私の次の段階の研究と制作も、この「in-between」の領域で展開していく予定です。

 

Q. これまでの制作キャリアの中で、芸術的探求の「原点」となった具体的な瞬間、記憶、あるいは体験はありますか?

許珂: 2016年、ロンドンへ引っ越し、異郷での生活をスタートさせました。当時の私は物価の面で強い文化ショックを受けました。家から外へ出るための合理的な理由を作るため、私は自分自身で「Iceland へオレンジを買いに行く」というアクティビティを考案したのです。

家を出て、交通量の多い幹線道路沿いを約1時間歩くと、「Iceland」という名のスーパーに到着します。ここのオレンジは当時最もコスパの良い選択肢でした。同じ通りを繰り返し歩き、観察するという行為を、私は「On My Way to Iceland」というアクションに置き換えました。これが、私の最初のアーティストブック制作のインスピレーションとなりました。

この経験を振り返ると、そこに含まれる「意味の置き換え」「文化や地域的視点の導入」、そして「控えめなユーモア」は、現在に至るまで私が使い続けている制作の視点そのものです。

 

Q. 現在のスタジオ環境や、暮らしている都市/自然的空間は、作品の気質や視点にどのように潜在的な影響を与えていますか?

許珂: 最近、上海の郊外に引っ越したばかりです。創作における「in-between」の状態に対する生来の好奇心は、私自身の地理的な移動の多さにも表れているのかもしれません。

ただ正直に言えば、ここへ越してきたのは、仕事の軸足をもう少し創作活動へとシフトさせるためです。これが持続可能な決断となることを願っています。

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許珂(シュー・コー / Ke Xu, b.1994)

現在、上海を拠点に活動。ヴィジュアルアーティスト。映像、印刷物、レディメイドを主な表現メディアとし、観賞と読書、知の生産と情報の拡張が交差するメカニズムの構築に焦点を当てている。これを通じて、メディアを流転する概念の表現、テキストとイメージの間に広がる想像空間、そしてそこから派生する開かれたナラティブを探求している。ロンドン芸術大学キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ、ヴィジュアルアート:ブックアート専攻修士課程修了(MA in Visual Arts: Book Arts, with Distinction, 2018)。

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